むかし、あるところに、三人のむすこのいる粉屋こなやがいました。

この粉屋は、とてもまずしかったので、死んだときむすこたちにのこしたものは、

粉ひき小屋と、粉を運ぶためのロバ、そして、ネズミをとるネコだけでした。

そこで、代理人だいりにんもよばずに、すぐに財産ざいさんをむすこたちで分けることになりました。

一番目いちばんめのむすこは粉ひき小屋をもらい、二番目にばんめのむすこはロバをもらいましたが、三番目さんばんめのむすこがもらったのは一ぴきのネコだけでした。

粉ひき屋の財産


「にいさんたちは力を合わせていっしょにはたらけば、くらしていける。

でもぼくはこのネコを食べて 毛皮けがわで手ぶくろを作ったらあとはうえ死にするだけさ

三番目のむすこは、そう言ってなげきました。

すると、それをだまって聞いていたネコがまじめな顔でこう言いました。

「ご主人しゅじんさま、そんなにがっかりなさることはありませんよ。そのかわり、わたしにふくろをひとつ作ってください。

それから、どんなヤブの中でも自由じゆうに走れる長ぐつを一足作ってください。

そうすればわたしがきっとご主人さまをしあわせにしてあげます。わたしをもらったことで後悔こうかいはさせませんよ」