ある日のこと、ネコがいつものようにお城にえものを持って行くと、王さまが美しいおひめさまといっしょに、川へお出かけになるという話を聞きました。

ネコはすぐさま主人のもとに帰ると、こう言いました。

「わたしのいうことを聞いてくれればきっとうまくいきます。なあに、むずかしいことじゃありません。

ご主人さまはただ川で水あびをしていてくださればいいんです。あとはわたしにまかせてください」

主人はさっぱりわけがわかりませんでしたが、ネコの言うとおり、川で水あびをしていました。

王様の馬車


するとそこに王さまのった馬車ばしゃが通りかかりました。それを見ると、ネコは大声でさけび始めました。

たすけてください!助けてください!カラバ侯爵がおぼれそうです!」

この声を聞いて王さまが馬車からかおを出しました。

見ると、そこでさわいでいたのは、いつもえものを持ってきてくれるネコではありませんか。

王さまは家来けらいに、すぐにカラバ侯爵を助けるよう、いいつけました。

家来は急いで川に行き、カラバ侯爵を引き上げました。

その間に、ネコは王さまのところへ行き、こう言いました。

「わたくしの主人が水あびをしていますと、どこからかどろぼうがやってきて、主人のふくをぬすんでいきました。

わたくしがどろぼう!どろぼう!と声のかぎりにさけんで追いかけましたが、だめでした。」

王さまは、お城の衣装係いしょうがかりに一番きれいな服をいそいで持って来るようにめいじました。